●今回は中学生向け●
演劇界の不気味な声援
学而会 英語のおまけ箱 25箱目
これから部活の大会とか演説とかコンテストなどに出場する友人に「がんばって」と声援をおくる場合、英語では、どのような言い方があるでしょうか。
いろいろ考えられますが、教科書や参考書類に最も多く記されているのが、
Do your best.
とか、
Good luck.
でしょう。
でも、これらどちらも、言うときの状況や口調、相手との関係などによっては、否定的なニュアンスに聞こえる場合も、ないとは言えません。
I’ll be a superstar in Hollywood in the future !
「おれ、将来、ハリウッドでスーパースターになるんだ」
と言う友人に、冷たい口調で、
Do your best. Good luck.
と返すと、これは声援ではなくて、「はいはい、せいぜいがんばりな」とか「アホか、きみは」という感になります。
ま、あまり神経質になることはありませんが、言葉というものは、使われる状況で意味が変わるものですから。
ただ、
do one’s best 「ベストを尽くす」
という表現は、高校入試頻出語なので、中学生のみんなは、しっかり覚えておいてください。
日本の中学生が、とりあえず安心して使える「がんばれ」の一つとしては、
You can do it.
あたりがいいかもしれません。
文字通り、「きみは、それができる」です。
この前に、I’m sure … (わたしは確信しているよ…)というのをつけると、言われた相手は、なおうれしいでしょう。
ところで、アメリカの演劇の世界では、出番が来て楽屋から舞台に出て行こうとする俳優に声援をおくる場合、
Break a leg.
と声を掛けます。
「脚を折れ」なんて、不気味ですよね。
なんでこのように言うのかは、外国語が由来だとか、いろいろな説があって、はっきりしてないみたいです。
「これから舞台へあがる俳優にとって最も避けたい出来事は、舞台でコケたりして脚を折ること。この忌まわしい出来事を事前に口に出して言うことで、それは終了した、もう起こらない」という考え方から来ているのではないかと、わたしは勝手に思っています。
演劇の世界では Good luck. は禁句だそうです。
なぜだかわかりませんけど。
ですから、一般人の間でも、わが子や友人が歌やダンス、あるいは演説や何かの発表でステージにむかう場合には、
Break a leg.
と、声援をおくるんです。
●語り手/英語科・鈴田●