●今回は中学生向け●
クマさんに聞いてごらん
学而会 英語のおまけ箱 23箱目
前回 CHOO CHOO という、スゴく古い絵本について話しましたが、英米でも日本でも、すぐれた絵本の息の長さはハンパじゃないです。
20年30年なぞ、短いほうです。
100年近く支持されているものが相当あります。
このような一流の絵本は、小さい子どもだけではなく、大人の鑑賞に十分耐えるものです。
本文は、練りに練った単語を用いて、構造も非常に平易なものになっています。
音読すると、リズミカルで心地が良いです。
そして、絵本といえば、すばらしい絵。
絵と文が一体化して、絵本世界をつむぎだします。
シンプルな文章で、絵の補助もあるから、平均的な中学生の英語力でも、日本語にいちいち訳すことなく、英文がストレートに入ってくる感じになることも多いはずです。
「お、英語読めてるじゃん!」という気持ちになって、英語の学習が楽しくなってくるかもしれません。
また、数分で読み終えることができるというのも、絵本の良いところです。
ここで、アメリカの、一流絵本のひとつを紹介しましょう。
ASK MR. BEAR という作品で、日本語にすると、クマさんに聞いてごらん といったところです。
作者は Marjorie Flack (マージョリー・フラック) という人で、アメリカを代表する偉大な絵本作家の一人です。
かのじょの作品といえば、日本だと、好奇心旺盛な子犬が主人公の「アンガス」シリーズが有名かもしれません。
ASK MR. BEAR も、たっぷり80年以上も前の作品ですが、英米でも日本でも、いまだに愛読されています。
お話は、次のように展開します。
Danny 〔ダニー〕という男の子が、お母さんへの誕生日プレゼントに何をあげたらいいか悩みます。
↓
そこで、メンドリに相談します。
↓
メンドリもわからないらしいので、Danny はメンドリといっしょにガチョウにたずねに行きます。
↓
ガチョウもわからないらしいので、Danny はガチョウも連れてヤギにたずねに行きます。
↓
ヤギもわからないらしいので、Danny はヤギも連れてヒツジにたずねに行きます。
↓
ヒツジもわからないらしいので、Danny はヒツジも連れてウシにたずねに行きます。
↓
ウシもわからないらしいので、皆で森のクマにたずねに行くことになりますが、お供の動物たちはビビってついて来ようとはしません。
そこで、Danny はひとりでクマにたずねに行きます。
↓
森のクマと会った Danny は、クマに相談します。
クマは Danny の耳元で何かささやきます。
Danny はクマに「ありがとう」と言って帰ります。
↓
そして、お母さんの誕生日がやって来ました……
と、ここで、読者はワクワクした思いに駆られます。
「いったい、クマは Danny に何とアドバイスをしたんだろう」と。
ちょっとしたミステリー小説の味わいがあります。
もちろん、最終ページで、謎は解き明かされます。
最終ページは、Danny がお母さんに何をあげたかが一発でわかる絵と共に、
Danny gave his mother _________ .
という本文。
さて、下線部 は何だと思いますか?
Danny はお母さんに何をあげたのでしょうか?
答は……申し訳ありませんが、ここでは教えません。
絵本 ASK MR. BEAR は、日本では『おかあさんの たんじょう日』という題になっています。
そしてどういうわけか、別の作者の別のお話も加えて「おかあさん だいすき」という1冊の絵本にまとめられています(岩波書店刊)。
ASK MR. BEAR も「おかあさん だいすき」もどちらも、永山図書館などに置いてあると思います。
だから、答は自分で確かめてください。
どうしても知りたい人は、学而生に限り、わたしにたずねにきてくれれば、読者特典第2弾として教えてあげましょう。
期間限定だよっ!(いちおう1ヶ月ぐらい)。
●語り手/英語科・鈴田●