●今回は中学生向け●
ゴジラとラドン
学而会 英語のおまけ箱 47箱目
日本映画界が生んだ最大のスーパースター、怪獣「ゴジラ」の名は皆、知っていますね。
ゴジラは日本のみならず、アメリカでも人気があります。
ただ、アメリカでは、この怪獣は Gojira〔ゴジラ〕とは言わないんです。
Godzilla と言います。
発音は〔ガッズィーラ〕という感じです。
5年ほど前に、ハリウッドがついにゴジラ映画を製作・公開しました。
タイトルはもちろん、Godzilla です。
この映画に日本人の科学者役で、渡辺謙という俳優が出演しています。
渡辺氏はハリウッド映画の出演が多く、英語は堪能、演技力も絶賛されており、今アメリカで最も知られる日本人俳優と言える人です。
映画の中で渡辺氏は、この怪獣の名だけは、Go-ji-ra 〔ゴ・ジ・ラ〕と、あえて日本語風に発音しました。
〔ガッズィーラ〕とは言いませんでした。
むろん、制作陣からは〔ガッズィーラ〕にしてくれと要請があったようですが、氏は自分の意図を説明し、最終的に納得してもらいました。
日本は、原子爆弾の恐ろしさ、悲惨さを2度に渡って経験した世界唯一の国です。
「ゴジラ」は、原水爆実験が生み出した生物であり、核兵器がもたらす脅威と悲劇の象徴です。
日本語、あるいは日本人にとって「ゴジラ」とは特別なものであり、呼び名を変えるわけにはいかない、といったところなのでしょう。
さて、今年に入って、ハリウッドがゴジラ映画の第2弾を製作・公開しました。
今度は、ラドン、キングギドラ、モスラなど、日本映画が50年以上も前にゴジラと共に生み出した他の怪獣たちも登場します。
ラドンは鳥型の空飛ぶ怪獣ですが、実はアメリカでは Radon〔ラドン〕とは言わないんです。
Rodan 〔ロダン〕 なんです。
なぜそうなってしまったかは、「ラドン」の映画が昔アメリカに輸出されたときに、単に誤って伝えられ、そのまま定着してしまった、みたいなことを何かの記事で読んだことがあります。
そして、本作にも、渡辺謙が前作と同じ役で登場します。
今回、映画の中で渡辺氏は、あの鳥型怪獣をどう呼ぶのか。
日本人として「ラドン」で通すのか。
やはり、英語として「ロダン」で行くのか。
わたしは、ちょっとワクワクしながら見に行きました。
結果…、渡辺氏があの鳥型怪獣の名を口にするようなシーンはありませんでした。
故意になのか、偶然になのかはわかりませんが、とにかく避けられていました。
代わって、中国の女性科学者が「あれは『ロダン』よ」と言ってましたが。
●語り手/英語科・鈴田●