●今回は高校生向け●
「アリス」のなぞなぞ
学而会 英語のおまけ箱 44箱目
英語の「なぞなぞ」で、おそらく世界的に最も有名だろうと言えるものがあります。
しかも、なんと、これには「答えがない」んです。
その「なぞなぞ」というのは、
Why is a raven like a writing-desk ?
というもの。
raven〔レイバン〕は、鳥の「カラス」なんですが、普通の「カラス」よりも大きいヤツです。
writing-desk は、書き物をするための「机」で、表面が傾斜していることが多いです。
というわけで「大ガラスは、なぜ机に似ている?」
この「なぞなぞ」は、Alice in Wonderland「不思議の国のアリス」というイギリスの文学作品に登場します。
出版されたのは 1865年で、今だに読まれているというからスゴいですね。
児童文学のジャンルに入れられていますが、全編、英語の言葉遊びに満ちていますので、英語ネイティブでないと読みすすめるのは、なかなか難しいです。
でも、日本を含めて世界中で翻訳されており、大昔、ディズニーがアニメ映画化もしています。
たぶん、映画でも、この「なぞなぞ」は登場していたと思います。
不思議の国に迷いこんだアリスという女の子が、そこで出会った帽子屋から、この「なぞなぞ」を出されます。
アリスは答えを考えようとしますが、帽子屋は次々と別のことを話してくるばかり。
結局、この「なぞなぞ」の答えは、アリスにも読者にも最後まで知らされません。
もともと、この「なぞなぞ」に答えはないんです。
作者の Lewis Carroll(ルイス・キャロル)自身が、そう断言しているのですから間違いありません。
帽子屋は、単に会話のノリで言っただけなんです。
不思議の国は、nonsense(無意味、ばかばかしさ)と狂気の世界ですから。
ところが、本書が初めて出版されたとき、あまりにも多くの人が、キャロルに「あの『なぞなぞ』の答えは何?」と聞いてくるので、かれは困りました。
そこで、これはあとから思いついたことなんですけどねと断りをつけて、二つほど解答を考案、発表しました。
その後も、世界中の「アリス」の研究者やファンが、独自に答えを考えだしてきました。
そして、今はネット社会です。
ネットで検索してみると、これがまた、実に多くの人たちが答えを発表しているんです。
世の中は、モノ好きというか、ヒマな人が何とまあ多いのだろうと、笑ってしまいます。
ただ、どの答えも、英語ネイティブでないと、よくわからないものばかりです。
わたしたちから見ると「なんでコレが答えとして通用するの?」「どこが面白いの?」というものばかり。
「解説をつければ、日本の高校生も何とか理解してくれるかも」と思えるものが二つだけあるので、今度それを紹介します。
というわけで、
To be continued(次回につづく)
●語り手/英語科・鈴田●