●今回は高校生向け●
どーでもよくね?
学而会 英語のおまけ箱 39箱目
Who lives in that house ?
この文の話者は、あの家に誰が住んでいるのかを尋ねています。
しかし、たとえば、10メートルの高さの塀を飛び越えろ、と言われた人が思わず口にした、
Who can do it ?
は、ちょっと違います。
「誰がそんなこと出来るのか」と、ホントに尋ねているのではなくて、「そんなこと、出来るヤツいないよ」「誰もそんなことできないよ」と言いたいわけです。
気持ち的には、
Nobody can do it.
ということを伝えたいんです。
このように、見た目は疑問文の形をとっていますが、ホントに質問しているのではなくて、内容的には話者の主張を伝えている文のことを、文法用語で「修辞疑問」といいます。
英語は、修辞疑問が非常に多いです。
Who knows ?
「誰が知っているのか?」
↓
「そんなこと、誰も知らないよ」
と主張しているんです。
Who cares ?
「誰が気にするのか?」
↓
「誰も気にしないよ」
How can I live without my smartphone ?
「わたしはスマホなしで、どうやって生きられるのか?」
↓
「わたしは、スマホなしでは生きられないよ」
What are we waiting for ?
なんていうのも、よく耳にするセリフです。
「わたしたちは何を待っているのか?」
↓
「一刻も猶予はないぞ」「ボヤボヤしてる場合じゃないぞ」「すぐやろうぜ」
と言っているんです。
高校入試によく登場するやつで、
Why don’t you ~ ?
という言い回しがありますが、これも修辞疑問の一種と言えるでしょう。
「あなたは、なぜ~しないのか」
↓
「あなたは~したらいいのに」「~してはどうですか?」
と、相手に提案する意味で使いますね。
修辞疑問なのか、本当に質問しているのかは、その文が発せられている状況や文脈で判断することになります。
ちょっとビミョーな場合もあるかもしれませんが。
たとえば、学校の授業で、いつまでもおしゃべりをやめない生徒に、ネイティブの先生なら、
Are you talking all day ?
と言うかもしれません。
表面的な訳は「きみたちは一日中しゃべるつもりですか?」ですが、やはりこの場合、先生は生徒に Yes や No という返事を期待して言っているわけではないでしょう。
「もう、おしゃべりをやめなさい」と言いたいわけでしょうから、修辞疑問と言えるでしょう。
というわけで、友だちとの会話で、よく、「どーでもよくね?」と言っている人を見ますが、これ、英語なら、
Who cares ?
がピッタシです。
●語り手/英語科・鈴田●