●今回は中高生向け●
“マクドナルド”の つづりの謎
前回、日本初の英語教師 ラナルド・マクドナルド Ranald MacDonald について述べました。
MacDonald のつづりを見て「なんで、途中のDが大文字?」と思った人がいるかもしれません。
誰もが知っている世界的ハンバーガー・ショップ『マクドナルド』もそうですね。
こちらは、つづりがビミョーにちがって McDonald ですが、やはり、Dだけ大文字です。
英語圏の名字には Mac~ や Mc~ で始まるのがあります。
Mac~ が正規つづりで、Mc~ は省略形なんです。
Mac~ や Mc~ で始まる名字は、アイルランドとかスコットランド系の名字です。
ラナルド・マクドナルドは母親は北アメリカ原住民ですが、父親はスコットランド人でした。
実は、英語には、Mac~、Mc~ で始まる名字は、次に来る字は大文字で記すという法則があります(Mac~ の場合は大文字にしない場合もあります。Mc~ の場合は必ず大文字です)。
そして、Mac~、Mc~ は「~の子孫、息子」という意味なんです。
よって McDonald は「ドナルド Donald の子孫」という意味になります。
これがそのまま名字として通用するようになりました。
マクドナルドという姓の人は、家系で一番始めのご先祖様の名前が Donald だったわけです。
Donald は固有名詞ですから、どうしてもDは大文字になってしまうんですね。
Mac~、Mc~ の姓で、日本の中高生も聞いたことがあるのでは?と思われるものを紹介しましょう。
ダグラス・マッカーサー Douglas MacArthur という名前は、歴史の授業で登場したと思います。
第2次世界大戦で日本が降伏し、アメリカによる日本占領と日本の戦後復興のために最高司令官として日本にやって来た人。
MacArthur は「アーサー Arthur の子孫」ということになります。
ポール・マッカートニー Paul McCartney は、イギリスのバンド the Beatles の一員で、現代のポピュラー音楽、ロック界に巨大な影響を与えた人。
今の中高生のおじいさん、おばあさん世代で、この名を知らない人はいないでしょう。
もちろん、McCartney は「カートニー Cartney の子孫」ということに。
ジョン・マッケンロー John McEnroe といえば、アメリカの伝説的テニスプレーヤーですね。
「エンロー Enroe の子孫」です。
ところで、これは人名ではありませんが、米国アップル社のパソコンの名は マッキントッシュ Macintosh (これは大文字にはなっていません)。
「マック」という愛称で呼ばれることが多いですね。
アメリカでポピュラーなリンゴの品種に『マッキントッシュ McIntosh』 というのがありまして、アップル社で「マック」を開発した人がリンゴが好物だったので、この名前がつけられたそうです(つづりを少々変えて)。
リンゴの McIntosh は、この品種を最初に発見した農夫が McIntosh という名字だったので、そう名付けられました。
●語り手/英語科・鈴田●