●今回は中学生向け●
“はなし” の話
学而会 英語のおまけ箱 30箱目
前回、『ヒックとドラゴン』というアメリカ映画の話をしましたが、この映画のことで今回、もうひとつ。
主人公の少年と心を通わすようになり、最後は少年と共に巨悪に立ち向かうドラゴンのこと。
このドラゴンは、戦うときは勇敢に戦いますが、ふだん少年とジャレ合うときは、飼いネコのような仕草をするし、くりっとしたかわいい目をしています。
そして、歯を自由に出し入れできるんです。
歯を出しているときは、口いっぱいに頑丈な歯並びが出現します。
そこで、少年はドラゴンを「トゥース tooth」と名付けます。
tooth は「歯」のことですね。
複数形が teeth であるというのは入試頻出事項です。
この「トゥース」という名前ですが、実は、これはあくまでも日本語字幕や吹き替え版においてのみ、なんです。
オリジナル音声(英語)では、toothless〔トゥースレス〕と呼んでいるんです。
「歯無し」という意味です。
たしかに、このドラゴンは、歯を引っ込めているときは、口の中に歯がまったく見えないんです。
というわけで、オリジナル英語版と日本語版では、それぞれ真逆の意味の名前になっているというのは面白い現象です。
さて、知っている中学生も多いと思いますが、英語には、名詞に -less をつけて「…がない」「…を持たない」といった意の形容詞を作る例が多いんです.
この -less のことを文法用語で「接尾辞」などと言うんですけど。
care(注意) → careless「注意力がない」「不注意な」
end(終わり)→ endless「終わりのない」「果てしない」
use(利用、役に立つこと)→ useless「役に立たない」「ムダな」
などいろいろありますが、注意したいのは priceless です。
price(値段)+ -less ですから、「値段がない」→「無料な」と、思わないように。
「(値段がつけられないほど)きわめて貴重な」「めっちゃ価値がある」ということですから。
●語り手/英語科・鈴田●