●今回は中学生向け●
セサミ・ストリートへの行き方
学而会 英語のおまけ箱 23箱目
① I don’t know how to ( ) to the station.
「わたしは駅への行き方がわかりません」
② How can I ( ) to the station?
「駅へはどう行けばいいですか」
( )に入れる語を問われた場合、ほとんどの中学生は、日本語に引きずられて go を入れます。
でも、正解は get です。
たしかに、ふつう、
go to A は「A へ行く」
get to A は「A へ着く」
と覚えますよね。
その覚え方は問題ありませんが、上のような文では気をつけましょう。
“日本語では『駅への行き方』と言うけど、英語では『駅への着き方』と表現するんだ。
日本語では『どう行けば』だけど、英語では『どう着けば』という言い方をするのが自然なんだな” と、とにかく思ってください。
英語ではそういうふうに言うんだと理屈抜きで納得して、それをしっかり覚えるといった学習法も、英語学習には非常に大切なことです。
それで学校の成績は上がりますから。
ただ、どうしても、何かしらの理由を添付しないと身につけられないという人のために、少々お話しておきます。
get という語は基本、「変化」「移動」などを表しますが、そこに至るまでのプロセス(過程)を強く意識した語なんです。
苦労したり、工夫したり、相手を説得したりして、そこへ至るんです。
①②の文とも、話者が意識しているのは、駅へ行くまでの道順です。
「駅へ行くには、ここをまっすぐ進んで、最初の角を右へ曲がって、交差点を渡って…」のような、駅に至るまでのプロセスを知りたいわけです。
ですから get to を使うほうが適しています。
go というのは、単に「進行」動作を表します。
そこへ至るまでのプロセスには意識はありません。
よって、
How can I go to the station?
は「わたしはどんな方法で、駅まで go すればいいのか」ということですから、聞かれた相手は「バスで」「自転車で」といった、単に交通手段を答えるかもしれません。
how to go to the station は、駅へ go するべき方法、すなわち交通手段のことを言っている感が強いです。
また、②の英文で go を用いた場合、次のような可能性も出てきます。
たとえば、
How can I betray him?
㊟ betray〔ビトレイ〕…「裏切る」
は、文字通りの訳でいくと 「わたしは、どうやったら、かれを裏切れようか」ということですが、これは結局「わたしが、かれを裏切れるはずはないだろ」ということを言いたいんです。
こういった表現のことを反語表現といいますが、How can I ~ ? という言い方は、この反語表現に取られがちなんです。
すなわち、駅へ行きなさい、と命令されて、
How can I go to the station?
「わたしは、どうやったら、駅へ行けるのか」
↓
「わたしが駅へ行けるはずはないだろ」
と、反論している人のセリフとしてなら、あり得ます。
ところで、何十年もつづいているアメリカの幼児向け番組で SESAME STREET〔セサミ・ストリート〕 は知っていますか?
Big Bird とか Elmo とか Cookie Monster とかいったキャラでおなじみのやつです。
この番組の主題歌 Sunny Days という曲を耳にしたことはありますか?
そのメロディ、浮かびます?
“Yes” と言う人はラッキーです。
なぜなら、あの主題歌の最後のサビの部分は、「セサミ・ストリートへの行き方を教えてくれない?」ということで、
…Can you tell me how to get, how to get to SESAME STREET? ♪
と歌っているんで、2,3回、ノリノリで口ずさんでみてください。
こういうときは go to ではなくて、get to を使うんだよということが、しっかりと身につけられます。
なお、今回の “go to” と “get to” の話は、前回15箱目で紹介したマーク・ピーターセン氏の著書でも述べられています(63頁~64頁)。
●語り手/英語科・鈴田●