●今回は中学生向け●
66箱目「スプーン1杯のお砂糖で」
前回65箱目で「スプーン1杯の~」は
a spoonful of ~
だよ、という話をしました。
わたしがこの語に初めて出会ったのは、50年以上も前にディズニーが製作したMary Poppinsというミュージカル映画で、でした(日本公開題名『メリーポピンズ』)。
百年ほど前のロンドンが舞台で、ある銀行員の家庭に、そこの二人の子どもた
ちの保母としてメリーポピンズという女性が雇われます。
メリーポピンズは次々と不思議な力で子どもたちを魅了していき、それまで
冷たい雰囲気だった家庭が明るい家庭に変わっていく、という物語です。
本作は全編名曲ぞろいですが、その中のひとつが、
A Spoonful of Sugar
という歌。
この歌では、
A spoonful of sugar helps the medicine go down.
という歌詞が繰り返されます。
この文をちょっと分析してみましょう。
help A ~(~は動詞の原形)
で「Aが~するのを手助けする、手伝う」
上の歌詞では、Aに当たるのが
the medicine
~の部分は
go down
に当たります。
medicine 〔メディスン〕は「薬」
go downは普通「下る、降りる」ですが、ここでは「《薬がお腹の中へ》降りていく」と考えてください(要するに『薬を飲む』ということです)。
よって「スプーン1杯のお砂糖は、薬が《お腹の中へ》降りていくのを手助け」
する」
↓
つまり、
「薬は苦くて飲むのはイヤなものだけれども、スプーン1杯のお砂糖を入れれば飲みやすくなるよね」
と、言いたいわけです。
きっと、この時代の薬は、現在のような錠剤とか顆粒状の飲みやすいものでは
なくて、液体とかドロッとしたペースト状で味も「マズっ!」というのがほとんどだったのでしょう。
歌詞全体の大意をざっと紹介しますと、
「どんなにキツそうな仕事でも、必ず楽しい部分があるものだよ。それを見つけて遊び感覚でやれば、楽しくやれるものだよ。ほら、薬って苦くてイヤなものだけど、スプー1杯の砂糖を混ぜれば、たちまち、おいしい飲み物として飲めるでしょ。それと同じさ」
といった具合です。
部屋の片付けをしようとしない子どもたちに、メリーポピンズはこの歌を歌ってあげます。
もちろん、子どもたちはゲームを楽しむかのように、片付けをし始めます。
上で述べた help の使い方は、中学3年生の2学期の期末試験に出題事項として入っていた学校がいくつかありました。
もちろん、高校入試でも大重要です。
●語り手/英語科・鈴田●
*「メリーポピンズ」つながり、ということで、3箱目「最も長い英単語って?」も読んでいただけるとうれしいです。
なお、「メリーポピンズ」は、つい最近、続編が製作、公開されました。