●今回は中高生向け●
103箱目「『アイソレ』しなくちゃ」
以前、高校生の授業でisolation〔アイソレイション〕という単語が出てきました。
わたしが「これは『孤立』とか『分離』という意味です」と言うと突然、ある高校生が「うおっ!」と声をあげたのです。
何を驚いているのかと、わたしがたずねると、かのじょは「だって、アイソレですよ、アイソレ!」と、よくわからないことを言います。
さらに話を聞いて、やっと事情がわかりました。
かのじょは趣味でストリートダンスをやっているのだそうです。
普通の人は、体の、ある部分を動かすと、体はつながっていますから、どうしても他の部分も動いてしまいます。
ジャンルを問わず、ダンサーというのは、それではいけません。
動かしたい部位だけを「孤立」させて、首なら首だけ、肩なら肩だけ、腰なら腰だけを「分離」して動かせる必要があります。
ダンサーたちは、そのためのトレーニングを「アイソレ」と呼びます。
「アイソレ」を日頃十分にやっているダンサーは、踊りの表現力とか深みが違うらしいです。
この高校生は、isolation の意味を教えられたとき、「『アイソレ』って、英語のisolation から来ているんだ」とわかって、それでつい、声をあげてしまった、ということです。
というわけで、入試必修語である isolation という語をかのじょは一秒で身につけてしまいました。
しかも、この先ずっと忘れることはないでしょう。
ついでに言うと、isolationがバシッと頭に入ったので、本人の意欲次第では、派生語の、
isolate 〔アイソレイト〕という動詞(孤立させる、離す)、
形容詞の isolated〔アイソレイティッド〕(孤立した)も、難なく覚えられると思います。
John and Meg began to isolate themselves from each other.
「ジョンとメグは、互いに避けるようになった」
an isolated farmhouse 「ぽつんと1軒ある農家」
●語り手/英語科・鈴田