●今回は中高生向け●
125箱目「かたつむり郵便」
日本語の「メール」は、英語では
e-mail〔イーメイル〕
と言います。
email という表記の仕方もあります。
E-mail、Emailという表記もときどき見ます。
もともと、mail は「郵便《物》」の意です。
e- は、「電子の」という意の形容詞electronic〔イレクトロニック〕の略であると推察できます。
つまり「電子郵便」ということですね。
さて、snail mail〔スネイル メイル〕という語をご存知でしょうか。
snailは「かたつむり」のことです。
snail mail というのは、手紙を街のポストに入れる、それを郵便局の人が回収して、配達員が宛先へ配達してくれるという、従来の郵便制度&郵便物のことなんです。
一瞬で相手に届く e-mail に対して、従来の郵便は届くのに時間がかかります。
まるで、かたつむりの歩みのように。
ということで、e-mail と相反する語として使われるわけです。
ある意味、e-mail の登場のおかげで使われるようになった語です。
Many young people don’t use snail mail these days.
は、「最近、多くの若者は普通の郵便を使ったりはしない、メールで済ませる」ということだし、
Do you want me to send this letter by snail mail?
は、「この手紙、メールじゃなくて普通の郵便で送ろうか?」ということです。
あと、お気づきの方も多いと思いますが、この語の面白いところは、「スピードの遅さ」を「かたつむり」に例えているだけではなくて、snail と mail で、韻を踏んでいる、というところです。
「韻を踏む」というのは、「同じ音を特定の箇所で繰り返す」手法のことです。
詩や歌やラップなどでよく使われますね。
英語というのは、韻を踏ませた表現を好みますから。
韻を踏むことで、リズム感が生まれて印象に残る表現となるわけです。
ですから、snail mail を「かたつむり郵便」と訳した場合、原音の、韻を踏んだ面白さが犠牲になって消滅することになってしまいます。
仕方ありませんが。
●語り手/英語科・鈴田